君の名は…
森や渓谷へ行くと草花の写真を撮るくせに、名前をほとんど知りません。
写真を見た人から「これ何て花?」と訊かれやしないかと、毎回ビクビクしています。
一時期反省し、調べて暗記したこともありますが、
日本史の年号のごとく、ぜんぶ忘れました。
ただ、調べてみて感動したことがあります。
【姫女苑(ヒメジョオン)】
【夕化粧(ゆうげしょう)】
【踊子草(おどりこそう)】
その響きと字面から、先人の心の動きや温もりが、じわっと伝播してきます。
実際の花を見なくても、心の中に花開く。
植物と人との境界がなく、
共に永い年月と季節を生きぬいた人びとが、
産まれた我が子に名前をつけるように、その名をつけたのでしょうか。
そんなに感動しても、なぜか名前を覚えられません。
生き抜くうえで「名前」を必要としない、ただひたむきな草花。
愛情を「名前」に託す人々のいじらしさ。
そのふたつを愛でながら、私は野を歩いています。
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